現在知られている宗教関連の文書としては最も古く、人類最初期の聖典――宗教的伝統において中心的な役割を果たす、または神聖なものとして扱われる文書――の一例として挙げられるものとしては、紀元前2600年頃の古代シュメールで記されたものがある。現存する宗教に限れば、紀元前1700年から紀元前1100年にかけて編纂されたヒンドゥー教の『リグ・ヴェーダ』が最古であろう。神 (と言っても大勢いるが) の言葉が「顕現した」書物は、異教徒を改宗させるうえで実に有効な武器となる。現在の世界の5大宗教が、いずれも教義の中心となる聖典を持っている (仏教における三蔵、ヒンドゥー教におけるヴェーダとウパニシャッド、イスラム教におけるコーラン、ユダヤ教におけるタナハ、キリスト教における聖書) のも、むべなるかなと言えるだろう。