「産業」という言葉を聞くと、蒸気が立ちこめ、物々しい音を立てる機械がせわしなく動いている工場が立ち並ぶ、「産業革命」を思い浮かべる者も多いだろう。しかし、ウィリアム・ブレイクが「悪魔的な闇の工場」と呼んだそうした施設の興隆以前から、統治者たちは人々を集めて労働力を強化することの利点に気づいていた。古典時代以前からそのような産業の働き手が土地所有者であることは滅多になく、農奴や奴隷の身分に落とされた人々すらいた(ちなみに通説とは異なり、エジプトのピラミッドとその周辺施設を築いたのは、奴隷ではなく賃金労働者である)。その後、封建制からギルド制が生まれ、やがて初期の近代資本主義へと変化を遂げると、個人が自らの資金と地位によって新たな産業を興すことが可能となり、経済の歴史の幕を開くためのお膳立てが整うこととなる。