家畜が好き勝手に野を走り回るようなことがなければ、牧畜が大幅に楽になるのは自明である。柵で囲った牧草地に家畜を閉じ込めておくという発想がものぐさな羊飼いの頭の中に閃くのに、長い時間はかからなかっただろう。季節ごとに移牧を繰り返すような者たちであっても、新たな場所に移るたびに簡易的な牧草地を設けることは忘れなかった。そうした牧草地は、一般的には夏の間ずっと家畜を放牧しておくために使われるものであり、単に囲いがついているだけの場合もあれば、人為的に植物が植えられている場合もある。柵の構造は、家畜を閉じ込める役と、野生の獣やよそ者による略奪を防ぐ役を果たせるならばどのようなものでもよく、石を積み重ねたもの、杭と横木を組み合わせたもの、茨の植え込み、有刺鉄線、電気柵など、さまざまな形のものが利用される。ほとんどの場合、柵で牧草地を囲うという行為は土地の所有権と深い関わりがある
(封建社会やアメリカ西部開拓時代の牧場などの例に見られるように)。