パルテノン神殿の建設を監督した大彫刻家ペイディアスは、アテナ像を見て、「見事だが、もっと大きくしたまえ」と言ったという。ゼウスはさぞ喜んだことだろう。この記念碑を目にすれば、さらに喜んだに違いない。ゼウスを表現した最後の像は、座像であるにもかかわらず全高が12メートルもあった。もしゼウスが立ち上がったら、天井に頭をぶつけたはずだ。神々の王の似姿の本体は木で作られ、金と象牙で覆われた。銀や黒檀、宝石など、貴重な素材も惜しみなく使われ、細部に至るまで手の込んだ彫刻が施されていた。さらに、頭にはオリーブの冠があしらわれ、右手には勝利の女神ニケが控え、錫杖にはワシが止まっていた。だが、その威光も虚しく、何らかの災難に遭って像はやがて失われてしまった。