平坦なスーダンの砂漠に山が1つぽつんと立っている。ナイル川が大きく蛇行している地域の西に位置するその山のふもとには、数世紀にわたって存続した古代王国の宮殿が存在していた。だが今は、遺跡があるだけだ。
ゲベル・バルカルは頂上がまっ平らなので、かなり遠くからでもすぐに見分けがつく。比較的安全にナイル川を渡れる場所 (ナイル川の第4瀑布のすぐ下流) の目印でもあったため、古代においてこの山は旅人の経由地だった。また、紀元前15世紀以降はナパタの目印にもなった。ナパタはエジプト最南端の国境都市だったが、500年後にはヌビア人のクシュ王国の首都になった。
西暦19世紀以降、考古学者の働きにより、神殿の廃墟、山肌の石に刻まれた彫刻、エジプトがこの地域を占領していた時代の古代碑文など、大量の史料がゲベル・バルカルから発掘された。後にこの山陰に築かれたヌビアのピラミッドは、メロエの王や女王の墓所としての役割を担った。