ペルシアのサトラップだったマウソロスは、自分自身のために壮麗な大霊廟を建設したことで知られている。巨大で豪華な墓を英語では「マウソレウム」というが、この言葉はマウソロスの名に由来しているのだ。マウソロスの生前から建設計画が立てられていたこの霊廟は、現在のトルコ西部にあたる海岸地域に存在していた都市、ハリカルナッソスに築かれ、マウソロスの死後、紀元前353年に完成した。ハリカルナッソスの霊廟の美しさは、多くの古代の文献で讃えられており、古代世界の七不思議にも数えられていた。
霊廟の外壁には、マウソロスの妻アルテミシアが夫の死後に雇った有名な彫刻家たちにより、神話の怪物をモチーフにした浅浮き彫りが施され、柱と石のブロックによって支えられたピラミッド状の屋根の上には、マウソロスとアルテミシアの像が乗る青銅製の馬車が置かれていた。この霊廟で2人は永遠の眠りについた。いや、つくはずだった、と言うべきだろう。ハリカルナッソスの霊廟は、15世紀初頭、地震によって倒壊してしまったのである。