金属製の装甲で守られ、蒸気機関を動力とする軍艦である装甲艦同士の戦いで最も有名なのは、アメリカ南北戦争において発生したハンプトン・ローズ海戦 (1862) である。この戦いは引き分けに終わったものの、北軍のCSSバージニアは戦争中に南軍艦隊に大損害を与え、海軍における木造帆船の時代が終わったことをはっきりと示した。ただ、当時のアメリカ製装甲艦は遠洋航海に向いていなかったらしく、沈没することがしばしばあった。世界で初めて「遠洋航海が可能な装甲艦 (実際には金属装甲のフリゲート艦) 」を実現させたのは1860年代初頭のイギリス海軍で、後に蒸気機関とスクリューがさらに追加された。船体の大きさでは勝っていた木造軍艦がバージニアにはまるで歯が立たなかったことを知った各国も、装甲艦の建造を急いだ。装甲艦の艦隊同士が初めて激突したのは、アドリア海に浮かぶリッサ島の近くで発生したリッサ海戦においてである。この海戦にはオーストリアとイタリア両軍合わせて19隻の装甲艦が参戦し、うち2隻が海底に沈んだ。だが、短時間で終わったこの海戦と同じく、装甲艦の時代も長くはつづかなかった。